割安株をみつけよう

いままでは、長期割安投資のメリットをお伝えしてきました。日経平均株価が12,000円以下の時はお得(すなわち割安)なので、日本株に対して投資するなら、利益を出しやすい時期であると思います。

 

ただし、いつもいつも日経平均株価が割安な時期であるとは限りません。ところが、日経平均株価が全体として割安な時期ではないような時においても、利益を出しているような方が実はたくさん存在しています。そのような投資家が割安株を見つけるための「投資の物差し」をここではご紹介したいと思います。

目次

1.PBR(株価純資産倍率)

2.PER(株価収益率)

3.株主還元(配当や株主優待)で比較

 

 おまけ.情報はどこから入手すればいい

1.PBR(株価純資産倍率)とは

 

PBRは、「株価」÷「土地や現金など企業の資産すべてから借金などの負債を差し引いた純資産の価値を発行株式総数で割ったもの(=BPS)」で算定するもので、企業の資産価値に着目した指標です。

わかりやすくいうと、BPSとは、解散価値とも呼ばれており、「企業がもしも今すぐ解散してすべての資産を売却して、借金等の負債も全部返済し、余ったお金を株主に分配したときに、株主が受け取る1株当たりの金額」を意味します。

株価をBPS(解散価値)で割ると1倍未満だと解散した方が得ということを意味しますので、今の株価は割安とされています。

 

覚えていただきたいことは、PBRが「1倍未満の株価は割安」、「数値が低いほうが割安」ということです。理論上では「買収して解散」すれば利益ができるくらい割安だということです。

 

PBRを利用する場合に留意していただきたい点は以下です。

PBRが1倍未満の倍は、株価が企業の解散価値を下回っていることから、一般的には株価は下がりにくくなるといわれています。PBRが1倍未満であれば先々人気がでるのではないかと思われるのですが、現実にはPBRが1倍を大きく下回ったままの企業が数多く存在しています。これは本当に割安のまま放置されている場合もありますが、業績が良くないことが理由の場合もあります。業績が悪いと純資産が今後はどんどん減っていくのではないかと市場に判断され、割安ではないと捉えられてしまっているケースもあるということです。

このことから、PBRだけで判断せず、企業の業績や、以下でご紹介するその他の物差しを併せて参考にしていただくといいと思います。

 

 

2.PER(株価収益比率)とは

PERは、「株価」÷「1株当たり当期純利益(EPS)の予想値」で算定するもので、企業の利益に着目した指標で、数いが低いほど割安だと考えられています。

PERの利用方法は、同じ業種のライバル企業と比較したり、市場全体の平均と比較する際に用います。 たとえば、同じ業種のA社のPERが30倍、B社が15倍だとすると、B社の株価のほうが割安ということになります。

 

PERを利用する場合に留意していただきたい点は以下です。

〇新興市場(東証マザーズやジャスダック)に上場しているようなベンチャー企業や成長率が高い企業については、PERは高くなる傾向にあります。PERが100倍を超えているようなベンチャー企業もありますが、利益が将来爆発的に伸びるならば、割高とはいえないかもしれないです。これは、PERは将来の利益を考慮して算定しているものではなく、今期の利益と同水準の利益が今後も続くと仮定して計算をしているからです。

〇短期的な業績に影響を及ぼす震災などによる固定資産の減損などその年だけに発生する特別損失や、資産売却などの特別利益によって数字が大きくぶれる場合があります。

なお、一般的には利益が毎期一定の企業の場合、PERの適正水準は10倍程度といわれています。

 

 

このことから、PBRと同様、PERだけで判断せず、その他の物差しを併せて参考にしてください。

3.株主還元(配当や株主優待)で比較する

2016年現在配当利回り4%超の銘柄はなんとおよそ200銘柄あります。

配当利回りは、1株あたり配当金額÷株価で算定され、配当利回りが高ければ高いほど割安であると考えることができます。

配当利回りに加えて、あなたにとって魅力的な株主優待があれば割安度は一段とアップします。クオカードや航空券半額券、食事券など多種多彩で、配当と合わせると利回りがなんと10%を超えるものもあります。

また、日本企業の配当性向(利益をどれだけ株主に配当するか)は米国の37%に比べて27%と低いのが現状で、まだまだこれから配当性向を増やす企業が増えてくると予想されます。

 

この指標を利用する場合に留意していただきたい点は以下です。

〇1株あたりの配当が前期に比べて増えたり(増配)、株主優待が新設されると株価が上がる傾向にあります。

 

一方で減配されたり、株主優待が廃止されたり、お得度が小さくなると売り込まれる傾向にあります。配当も、株主優待も原資は企業の利益です。業績が悪化していると減配や株主優待が廃止されるかも・・と気になる企業の業績は注視することが重要です。

おまけ.情報はどこから入手すればよい??

 

〇会社四季報には上場企業すべての情報が詰まってます。株価の推移や最近の業績に加えて、PER,PBR,配当利回りや将来の企業業績の予想を見ることができるまさに「必須情報」です。四季報は書店に山積みされているのですが、年会費無料の野村證券の口座開設をすると、四半期ごと(3,6,9,12月)に発売される四季報の最新情報を無料で見れます。しかも、野村證券の口座開設には年会費等かかりませんので、野村證券に口座開設しておくととってもお得です。

 

〇また上場企業は四半期決算ごとに決算短信を発表します。決算短信とは、各四半期および年度決算後に決算の業績を企業が発表するものです。上述の四季報よりも早く各企業の業績を見ることができるので、お目当ての企業をみつけたら、この決算短信で情報を更新しましょう。ほとんどの企業は、自社ホームページで決算短信を発表しています。無料でご覧いただけますよ。

 

 

「投資の物差し」をご紹介しましたが、そもそも割安株が存在する理由は、株価は美人投票に他ならないからです。「投資の物差し」は、実力が株価に反映されていない企業を見つけ出すための方法なのです。いつか、実は美人だったと他のみなさんが気づくまでに「投資の物差し」を利用して割安株を仕込んでおきましょう。

 

 

ところで、マスコミが取り上げることによって埋もれていた企業が突然注目を浴びると株価があがるケースがあります。日経新聞や「zai」「日経マネー」などでPERやPBRの物差し上割安だ!なんて取り上げられると、急伸したりじわじわと伸びるケースがあるのですね。うまく投資に活用できるといいですね。http://toushioyaji.blog.fc2.com/ のブログではタイムリーに雑誌に取り上げられた企業のご紹介をしているのでご参考にしていただけると幸いです。